大切な方が亡くなった場合(四十九日法要から一周忌まで)【行政書士オフィス未来計画】
2020/04/01
相続手続き まずは
相続手続きが一番大変でしょう。
1.遺言書があるかどうかを確認
2.法定相続人の確定
3.遺産総額の確認
4.負債も調べる必要があります
5.遺言書がなければ、相続人全員で遺産分割の話し合い
6.遺産分割協議書に沿って、土地家屋の移転登記や銀行預金口座の
名義変更・解約
結構な労力をつかう手続きです。覚悟を決めましょう。
遺言書の捜索
まずは遺言書です。
故人が書いていてくれれば、相続の手続きはぐっと楽になります。
公正証書遺言ですと、その遺言書にて、土地家屋の移転登記・
銀行口座の名義変更や解約ができるからです。
生前に遺言書を残しておく最大のメリットはこれですね。
探し方ですが、順を追っていくと、
1.故人がお付き合いのあった税理士や弁護士・行政書士などに聞いてみる
遺言書作成のお手伝いをしていたなら、ご存じです。さらにその先生が
遺言執行人になっているかもしれません。
2.公証役場に行く
公正証書遺言を作成すると、正本が公証役場にありますので、
照会をすれば有無を確認できます。
3.法務局に行く
令和2年7月10日以降でしたら、自筆証書遺言を法務局で預かるという
「自筆証書遺言書保管制度」が始まりますので、一応念のため記載です。
4.自宅を探す
自筆証書遺言を故人が作成し、自宅のタンスの奥や、金庫、はたまた銀行の
貸金庫などに保管してある可能性もあります。くまなく探してみましょう。
自筆証書遺言がもし見つかった場合、封がしてあればそのままにして
おかなければなりません。
封をしたまま、法定相続人全員そろって家庭裁判所に行き、裁判官が
皆さんの前で開けて「検認」という手続きをしないと、法律上正しい遺言書になりません。
法律上正しい遺言書というのは、上記公正証書遺言みたいに、遺言書で
移転登記や預貯金の名義変更ができるようになります。
法定相続人の確定
法定相続人の確定、難しい言葉ですね。
簡単に言えば、民法で決められた相続人が誰なのかを特定することです。
どのように特定するか、それはとても大変です。
故人の生れてから亡くなるまでの戸籍謄本を取り寄せる
という一大イベントです。
簡単な例をあげますと、故人が市川市生まれで、そのまま同じ家にずっと住んで、
結婚しても同じ家に住んで、奥さんと添い遂げて、亡くなるまでその家にずっと住んでいた。
という具合でしたら、戸籍は市川市から移っていなく、離婚もしていなければ
生まれた時と結婚した時の2つの戸籍で、さらにその戸籍も市川市にありますので、
市川市役所に行けば、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本が全て揃います。
しかし、そのような方はまず稀でしょう。
結婚を機に実家を出て、違う市にアパートを借りて結婚して、その後北海道に
転勤になり、子供が生まれたら一軒家を買い、そこで落ち着こうということで
本籍を北海道に移して、という風な方でしたら、生まれたところの市役所と、
結婚したところの市役所、そして北海道の一軒家のある市役所と、戸籍は3か所に
分かれています。
さらに、離婚して結婚して、という方は、結婚するたびに新たな戸籍が作成されますので、
結婚した市役所ごとに戸籍があります。
まずは亡くなった時に本籍のある市役所に行き、戸籍謄本を取ります。そして、ひとつ前の
戸籍の住所が記載されていますので、それをたどって、出生までの戸籍をたぐっていくのです。
なぜそのような事をするか?
答えは、故人の子供は、離婚しても子供は子供で、法定相続人になるからです。
法定相続人の確定するには、亡くなった時の子供以外に子供がいない、ということを
証明するという側面もあります。
もし故人に離婚歴があり、前妻・前前妻がいて、それぞれに子供がいれば、その子供は
相続人になりますので、故人の遺産を相続する権利があります。
遺産を相続する権利があるということは、後で出てきます「遺産分割協議書」に
参加して、協議して納得したということで「実印」を押印して「印鑑証明書」を
付ける必要があります。
この「遺産分割協議書」が無いと、移転登記・銀行の名義変更ができないので、
この法定相続人の確定はとても重要な事なのです。
遺産総額の確定
遺産がいくらあるかを調べる必要があります。
全体を把握しないと、遺産分割ができません。
土地家屋は、まあ自宅ですとすぐにわかります。
銀行預金は、配偶者など管理していた方がいれば、特定はできます。
ヘソクリ用にネット銀行などを黙って利用していたら、厄介です。
家族に黙って株やFXをしていた場合の大変です。株やFXはネット取引ですので、
証券会社・FX業者のログインID/PASSWORDを探し出す必要があります。
キャッシュカードは財布に入っているだけなら良いですが、タンスにしまってあるかも
しれませんので、くまなく探す必要があります。
また、保険も大切です。生命保険や医療保険などに加入しているかを、証書や
保険会社から毎年送られてくる郵便物などを探し出しましょう。
発見したら、保険会社に電話して、死亡した場合や入院・手術した場合に
いくら保険金・給付金があるかを確認して、保険金・給付金の請求をすぐにしましょう。
保険金・給付金も消滅時効(2年)がありますので、あとで請求しようと思っていて
2年が経過したらアウトになってしまいます。
このようにして故人の財産を把握するのですが、残された家族の為に、遺言作成がベストですが
せめてエンディングノートを作成しておくと良いでしょう。
銀行口座・証券口座・加入している保険・そのほかの財産などを網羅する書面を作成しておくと、
残された家族が上記のような苦労をしなくて済むようになります。
負債総額の確定
相続は、故人の権利義務一切を承継するものですから、遺産は当然の事、
負債も承継することになります。
財産より負債の方が多ければ、負債を相続して、相続人が返済をするという
大変な事になります。
よって、財産総額を把握するのも大切ですが、負債を把握するのも大切です。
財産より負債が多ければ、相続放棄をしなければなりませんが、相続放棄は
3ヵ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりませんので、あまり時間がありません。
負債の捜索は急いでした方がいいでしょう。
負債は、故人が銀行・消費者ローン会社や知人からの借金もありますが、
連帯保証人というのもあります。他人の借財に対しての連帯保証人に故人が
なっている場合は大変です。その連帯保証をしている借財を調べて、あまりにも
多額の場合は、相続放棄も考える必要が出てきます。
負債がいくらあるか3か月以内にわからない、という場合は「限定承認」という
方法もあります。
こちらは、プラスの財産の範囲内でマイナス財産の責任を持つ、という承認で、
こちらも3か月以内に家庭裁判所に申述をします。
相続放棄は単独でもできますが、限定承認は法定相続人全員でする必要が
ありますので、注意が必要です。
遺産分割協議書・相続関係説明図
故人の戸籍を生まれてから亡くなるまでを揃えたら、
相続関係説明図
を作成します。
家系図みたいな形で、故人・配偶者・子供を家系図みたいな形で図示します。
前妻の間に子供がいれば、その子供も記載します。
そして、法定相続人全員が相続について話し合い、それをまとめた書面として
遺産分割協議書
を作成します。
法定相続人全員が納得したという事で、署名・実印を押印して、印鑑証明書を添付します。
相続人全員が納得してスムーズに遺産分割が済めば問題がありませんが、
金額と、それまでの親子関係と兄弟間の関係が複雑に絡むことですので、
スムーズに済めばいいのですが、揉めたらかなり拗れることになります。
この拗れを避けるには、やはり亡くなる前に「公正証書遺言」を作成して、
故人の遺志をはっきりと示しておくことが大切かと思います。
移転登記・銀行の名義変更や解約
ここまでやって、やっと各種名義変更ができます。
土地家屋ですが、売却して現金化して遺産分割をする場合でも、
故人名義では売却ができないので、いったん名義変更をする必要があります。
遺産分割協議書・相続関係人図・相続人の住民票をもって法務局に行けば、
相談コーナーがあり、そこで登記申請書の書き方を教えてくれます。
権利関係が単純な場合でしたら、自分ですることができます。
権利関係が入り混じっている場合や、自分で登記が面倒な場合は
司法書士の先生に頼むと良いでしょう。
手慣れていますので、テキパキとこなしてくれます。
銀行ですが、銀行に相続関係届出書などの書類がありますので、
それに記載することになります。
銀行の内部の手続きで1~2時間くらい待たされますので、
時間に余裕があるときに行くと良いでしょう。
故人の確定申告
故人が1月1日から亡くなるまでの収入を税務署に確定申告する必要があります。
これを「準確定申告」といいます。
通常なら確定申告をする必要のある方が亡くなった場合に、準確定申告をする
必要があるので、普段確定申告をしていないような年金生活者は、準確定申告は
する必要がありません。
ただ、準確定申告は、亡くなってから4ヵ月以内にする必要がありますので、
準確定申告をする必要のある場合は、4か月以内ですので、悠長にはしていられません。
相続税の申告
そして、相続税の申告です。
相続税の申告は、10か月以内にする必要があるので、あまりのんびりもできません。
相続税を支払う必要がある方は、相続財産が
3千万円+(法定相続人の人数 x 6百万円) (基礎控除額といいます)
以上ある方ですので、一家4人で、ご主人が亡くなった場合ですと、法定相続人3名になりますので、
上記計算ですと4800万円以上の方が相続税を支払う必要があり、申告が必要になります。
プラスの財産・生命保険の保険料などを足して、マイナスの財産・葬儀費用などを引いて、課税価格を算出します。
↓
課税価格から、上記基礎控除額を引き、遺産総額を出します
↓
遺産総額を法定相続分どおりに金額上分配し、それに相続税率を掛けます
↓
算出された相続税を合算します
↓
実際に財産が分割された割合にそって、各法定相続人に相続税を割り振ります
とまあ、相続税の計算は面倒ですので、相続税を支払う必要のある方は、
早めに税理士先生に相談されるのが良いと思います。