相続と戸籍謄本収集【行政書士オフィス未来計画】
2022/05/07
戸籍謄本の収集
親御さんが亡くなると、相続人である残された配偶者や子供が相続業務をしなければなりません。
相続業務は、つまるところ亡くなった方の契約や財産の整理です。
財産の整理は、遺産分けという事になるので、法定相続人を確定する必要があります。
現在戸籍を取得すれば、現在の配偶者・子供が記載されていますが、現在の配偶者と結婚する前にいわゆる前妻がいたという可能性があります。
前妻は法定相続人にはなりませんが、前妻との間に子供がいればその子は亡くなった方の実子となり、法定相続人となります。
また結婚していないが子供を設けて、その子を認知していると婚外子となり、その子も法定相続人となります。
昔は実子は嫡出子・婚外子は非嫡出子として、法定相続分に差がありましたが、現在は同順位で同額となります。
よって、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍を収集すると、生まれてから誰と結婚して、どのような子供がいるか?というのがわかります。
集めてビックリ、知らない子供がいた!
という事もありますが、その「知らない子」も法定相続人なので、無視するわけにはいきません。
結婚したら戸籍は?離婚したら戸籍は?
戸籍を収集するにあたり、人生のライフイベントが戸籍にどのように反映するかを把握しておく必要があります。
人生のライフイベントで大きなものの一つに、結婚と離婚があります。
結婚はする人は多いですが、統計上離婚は3組に1組の夫婦は離婚するので、そこそこの人数が離婚しています。
● 結婚の場合
日本人同士が結婚したら、夫婦について新戸籍が編製されます。
ただし、夫の氏を称する場合は夫、妻の氏を称する場合は妻が、戸籍の筆頭者になっている場合はその戸籍に入ることになるので戸籍は編製されません。
日本人と外国人が結婚した場合、日本人について新戸籍が編製され、日本人の欄に配偶者として外国人の名前と国籍が記載されます。
外国人と結婚しても氏は変更になりません。配偶者の氏に変更するには婚姻の日から6か月以内に市区町村に届け出て変更します。6か月を経過した場合は家庭裁判所の許可が必要です。
● 離婚の場合
結婚して氏を改めた方は、離婚によって婚姻前の氏に戻ります。
戸籍は婚姻前の戸籍に入ります。新戸籍の編製を申し出たときは新戸籍が編製されます。
婚姻時の氏を引き続き称することを希望する場合は、離婚の日から3か月以内に市区町村長に届け出て引き続き称することができます(婚氏続称)。この場合は新戸籍が編製されます。
外国人と結婚して氏を変更したが離婚する場合、離婚の日から3か月以内に市区町村に届け出て変更します。3か月を超えると家庭裁判所の許可が必要です。
子供がいる夫婦が離婚した場合の子供の戸籍は?
それでは子供のいる夫婦が離婚した場合、子供の戸籍はどうなるのでしょうか?
夫が筆頭者の夫婦の間での子どもは、夫婦が離婚すると妻が戸籍から分かれて実家の戸籍に戻るか、妻自身の新戸籍が編製されます。
子どもは夫の戸籍にそのまま残ります。
離婚届で妻が親権者として提出しても、子供の戸籍は妻と一緒には動きません。
では、妻の戸籍に子供を入れるにはどうするのか?
それは、家庭裁判所に「子の氏の変更申し立て」をして、自分の氏に変更を申し立てます。
許可になれば妻の戸籍に子供が入ることになります。
この申し立てには期限はありませんが、離婚後あまりにも年月が経過すると
変更の必要性に疑義が持たれますので、妻の戸籍に子供を入れたい場合は
離婚後早めに家庭裁判所に申し立てた方が良いと思われます。
改製原戸籍とは?
相続手続きで戸籍を集める際に忘れてはならないのが
改製原戸籍 です
江戸幕府が倒れて明治の世の中になり、明治新政府が明治5年に策定した戸籍が現在の戸籍制度の始まりです。
戸籍は時代の変化に合わせて、下記のような変遷をだどっています。
・明治5年式戸籍
・明治19年式戸籍
・明治31年式戸籍
・大正4年式戸籍
・昭和23年式戸籍
その都度書き換えられ、昭和23年の改製が現在の戸籍です。
大正4年式戸籍を見ると、「家督相続」なる文言が出てきます。
そのような家督制度を無くしたのが昭和23年式戸籍です。
このように時代に合わせた形での戸籍の変遷があります。
そして、それまでは紙を保管していましたが、平成になりコンピュータ化となり、そこでまた改製が行われました。
平成6年に戸籍法の一部が改正され、コンピュータ化となり、現在ではすべての戸籍がコンピュータに記録されています。
改製が行われると、その時点での現在戸籍が転機され、消除されたところは転記されません。
よって、改製される前の戸籍に記載されている消除された部分は、改製前の閉鎖された戸籍をみるしかありません。
その改製前の閉鎖簿の事を、改製原戸籍といいます。
例えばご主人が筆頭者の場合、現在の戸籍を見ると奥さんと子供が記載されている場合でも、改製原戸籍を見てみると
そのご主人が以前に結婚して離婚していて子供がいて、その子供は結婚して新戸籍が編製されているという場合もあります。
そうなると、その子供はご主人の子供なので、法定相続人の一人となり、相続関係説明図・遺産分割協議書に記載をする必要があります。
戸籍をさかのぼると、その方の身分関係がすべてわかるという事で、隠し子は隠し通せないという仕組みになっています。
また、隠し子は忘れられずに相続に加わることができるという事です。