遺言書作成のコツ 【行政書士オフィス未来計画】
2020/03/13
1.全ての財産を明記
まずは、
全ての財産を遺言書に明記する
です。
遺言書にみずほ銀行の口座が明記されているが、三井住友銀行やゆうちょ銀行の口座が
明記されていないとなると、いざ遺産相続の際にもめるもとになります。
「この口座はだれが引き継ぐの?」
と、まあ欲の皮が張るとそうなりますね。
遺言の最後に、
「記載以外の財産は○○に帰属する」
という文言を入れておけば済むといえば済みますが、その記載以外の財産が膨大なら
もめるもとになりますね。
正直に、しっかりと、自分の財産をすべて記載して、それを誰のものにするかを
しっかりと書いておくのが、残された家族がもめないコツです。
2.財産分けは遺留分を考慮するように
遺留分を考慮
これも大切です。
古い商家や農家の家柄で、その方のお子様に長男と次男がいて、
「長男が財産全部を相続する」
という旨の遺言書を作成するのが我が家の伝統、という事もあるでしょう。
次男が物分かりがよく、
「オレはいらないよ、アニキが家督を継いでくれ」
と納得してくれれば、何も問題はありません。
しかし、現代民法では長子家督相続という概念はありませんので、次男が
ある程度の財産が欲しいとなると、それ相応の財産分けが必要になります。
それが
「遺留分侵害額請求権」
(前は遺留分減殺請求権といいましたが、法改正で名称が変わりました)
というものです。
法定相続分の半分が遺留分となります。
よって、上記の法定相続人が2名の場合、次男は4分の1の遺留分があることになります。
したがって遺言書には、次男に4分の1程度の財産を渡すような記載をしておいた方が、
残された兄弟が遺産相続をめぐるケンカをする可能性がなくなります。
3.遺言執行者を指定しておく
遺言執行者とは、遺言書を書いた方がお亡くなりになり、相続が発生した
場合に、遺言書通りに財産分けの事務手続きをする方となります。
業務としては
1.遺言書の内容や最新版かを確認、自筆証書遺言なら家庭裁判所での検認手続きの手配
2.法定相続人・受遺者に就任通知書の送付
3.被相続人(亡くなられた方)の死亡が記載された戸籍謄本、
法定相続人や受遺者の戸籍謄本・住民票の取り寄せ
4.銀行預金の名義変更
5.土地家屋の名義変更
6.その他財産の名義変更
といったところです。
この面倒な事務手続きを誰がするのか?
あらかじめ遺言書で定めておけば、
「相続人の間で押し付け合い」
という。どうでもいい争いを避けることができます。
相続人の誰かを指名しておくのもいいですが、
行政書士などの士業を指定しておくと、報酬は発生しますが、
相続人は手間なしで相続手続きが円滑に進む事になります。
4.思いを書く
遺言書には、付言事項として自分の遺言書に込めた思い、残された家族への言葉を
記載することができます。
この思いを書くことにより、残された家族が、どうしてこのような財産分けを
したかを理解してくれて、もめずに遺言書通りの財産分けに納得してくれる
という効果を期待できます。
例えば、財産総額が5000万円で、長男と長女の2人が法定相続人の場合で、
長男が1000万円・長女が4000万円という遺言の場合、すぐには
長男は納得できずに、遺留分を主張するかもしれません。もめるもととなります。
しかし、付言事項に
「長女は結婚しても婿殿を説得して、自分の家の近傍に住んでくれて、
自分が足腰が不自由になった時も手助けをしてくれて、大腿骨骨折でリハビリ病院に
3ヵ月ほど入院しても、毎日のように見舞いに来てくれて身の回りの世話をしてくれて、
大変世話になった。その長女に報いたいという思いで、このような財産分けをした」
という旨の文章を残しておくと、長男は納得して、遺留分の主張もしないことでしょう。
このように、思いを遺言書に残す、ということも残された家族がもめないために大切な事です。
5.毎年、内容を見直す
内容の見直し
も大切です。できれば毎年行いたいものです。
財産の内容も、遺言書作成から少しずつ変化しますので、
銀行預金口座によっては、100万円入っていた口座に
今では10万円しかない、ということもあるでしょう。
遺言書をそのままにしておけば、いざ相続という場合に、
家族間でもめるもとになります。
遺言書には必ず日付(確定日付)の記載が必要ですので、
どの遺言書が最新のものかわかります。
そして、最新の遺言書が有効な遺言書となります。
たとえば、公正証書遺言を2010年8月10日に作成してあって、
財産内容が変わったので、自筆証書遺言を2020年1月8日に作成すれば、
2020年1月8日作成の自筆証書遺言が有効な遺言書となります。
遺言書の見直しは、年に一回程度は行いましょう!
6.詳しい専門家に相談する。
最後に
詳しい専門家に相談だ!
です。
自筆証書遺言の場合は自分で作成となりますので、
・遺言書の要件を満たしているか心配
・財産の記載方法を間違えると、銀行預金・土地家屋の名義変更ができない
といった弊害があり、相続発生時に、結局遺産分割協議書を作成しなければ
ならないといった、残された家族が大変な思いをするので、自己流でなく
専門家のアドバイスを受けながら作成すると、間違いを減らすことができます。
公正証書遺言の場合は、公証人の先生が作成してくれますので、
法的要件はしっかりと満たした遺言書が出来上がります。
しかし、作成過程で公証人の先生との打合せのために公証役場に
何度か行く必要がありますし、戸籍謄本や土地家屋の登記簿謄本などの
取り寄せもありますので、そのようなサポートを専門家に任せると
手間なく遺言書を作成することができます。
遺言書を作成するなら、行政書士などの士業に相談するのがベターです。